episode 11. 婚約破棄
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この話しが直接双極性障害や精神的な何かに紐付いているかどうかは分からない。
ただ、波瀾万丈な人生の一幕に「こんなコトもあったな」と振り返ることがある。
今から6年くらい前だろうか?
私は2年半ほど付き合った彼氏と結婚する予定だった。
付き合ってるときは、毎日お互いどちらかの家で過ごし、結婚が決まった頃に二人でアパートを借りて一緒に暮らし始めた。
といっても、付き合って1年経つか経たないかで、彼のお母さんの癌が再発し入院したから、私はお母さんの代わりにお父さんと彼のご飯をせっせと作り、お見舞いに行き、ほぼ「嫁」状態だった。
お見舞いに行くと、よくお母さんが「れんちゃん、後はお願いね。男二人じゃ何も出来ないんだから!」と言われていた。
「お母さん、そんなこと言ってないでさっさと良くなって帰ってきて〜、お母さんが作るご飯食べたいもん!」そんな会話が日常茶飯事で、でもお母さんが家に帰ってくる日はとうとうこなかった。
再発が見付かったのが、遅すぎて。
お母さんは最後に会った時「れんちゃん、頼むね。」と小さな声で言っていた。
最期の時に立ち会うことは出来なかった、病院に着いたらもう、お母さんは冷たかった。
それからも初七日、四十九日、一周忌…お義父さんから色々頼まれたり、なんだかんだと「嫁」的な感じだった。
そんな感じで日々は過ぎて、落ち着いた頃に「ちゃんと結婚しよっか。」って話しになって、結婚式場を決めて、両家の顔合わせ、結納もして、2人の新居に引っ越して…トントン拍子で進んだ。と思うでしょ?
ここで彼、豹変。
一緒に暮らし始めて1ヶ月経った頃。
仕事を終えて家に帰るとはーちゃんとチッチの様子がおかしい。
チッチは顔から血を流して、小さな鼻の上がパックリ割れている…
はーちゃんは高いところに登ったきり、唸り声をずっとあげて、その高いところでオシッコもウンチもしてしまっている…
…何があった?いるはずの彼はどこへ?
キッチンでは皿が割れ、アルミホイルやらスプーンやらが散らばり、壁には傷。
誰かが暴れたような跡。
猫か彼か。
答えは彼だった。
帰ってくるなりコンビニ弁当を私に向かってぶん投げた。
私は、???。どうしたの???だった。
だって優しい人だったし、暴力振るわれたことは一度も無かったし、とにかく驚いたのと突然のことで恐怖を覚えたのと、何より猫2匹に凄まじい恐怖を与えたこと、怪我させたこと、とにかく許せなかったし怖かった。
でも、ごめんねちょっとイライラしてた、としっかり謝っていつもの優しい彼が戻ってきたから、許した。
これが間違ってたんだな。
その後数日で彼は暴力的になり、私にゲームのコントローラーや陶器の皿、フォーク、様々なものが飛んで来るようになった。
私はお義父さんに報告していたから、彼を少し実家に帰らせて様子を見てもらうようにお義父さんにお願いした。
DVとは、このことか!
私は、初めははーちゃんとチッチの心配ばかりしていたけど、気付けば私自身が怪我をして、見えない所にアザが出来て、精神的にボロボロ追い詰められてった。
思い返せば…彼は実家の猫を叩いたりしていた。
共通の友人が「借金あるよー、たぶん結構な額。調べてから結婚しなよ。」とも言っていた。
突然そんな色んなコトを思い出して、彼について調べた。
案の定、前の彼女さんにも暴力を振るっていたらしい。
そして、亡くなったお母さんと共にギャンブルに金と時間を使い、使い込み、何百万という借金があることも分かった。
どうりで、2人の新居の契約審査が通らないわけだ。
私の名前で契約した理由に納得した。
この時点で疑問を感じなかった私が鈍感だった。
バカだった。
その後彼は新居へ戻ってきたけど、私は彼が実家に戻っている間にメンタルクリニックへ通うまでに心をやられていたので、別れるコトを決めていた。
婚約破棄って、世間からしてら恥ずかしいんでしょ?
パパ、ママ、結納までしたのにごめんね…
訳の分からない気持ちの日々が続いている間に、彼は相変わらずイライラしながら時々壁を殴り、荷物をまとめ出て行った。
私の名前で契約しておいて良かった。
出て行ってもらうことが出来たから。逆なら私が出ていかなければならなかったから。
その後1ヶ月かけて私は新しい家を求め、2人の新居から遥か遠い区へ引っ越した。
お義父さんには「お互い少し頭を冷やして…やり直せるなら…ね?」と謎の電話を頂いたが、お宅の息子さんの頭を冷やしてください、私の頭は冷やさなくても正常です寧ろダメージしかないです。と、それっきり連絡は取っていない。
何だろう、その時は、あんなに嫁みたいに楽しく生活して、お母さんのお葬式でも婚約者として親族一同に紹介もされて、幸せいっぱいの普通の生活だったのに。
2人の新居の解約(住んで2ヶ月半。)、結婚式場のキャンセル、、
何だったんだろう、って虚無感でいっぱいで、でも不思議と泣けなかった。
心が壊れたように、ただ毎日作り笑いで会社へ行って仕事をして、時々パニック発作を起こして、それでも普通に生きていた。
DVって、こんなふうに豹変するんだな、怖いな。
どんなに優しくても、一緒にならなきゃ分からないこともあるんだな、怖いな。
また他の誰かと幸せになろう、そうだ、そうしよう。
そう思った。
もう二度と彼と連絡を取ることはなかった。
…でも、私は知らない間に彼の借金を被ってた。
時既に遅し、彼と別れた1年後に発覚したものだった。
そんなオマケ付きの婚約破棄。
そんな人生の、出来事の一つ。
いま彼はどうしているだろう。
たまに思い出して、楽しかった思い出だけ切り取る。
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